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歯周病について

歯周病は、口腔内に常在している数種類の歯周病原生菌による細菌感染症です。もともとこの世に生まれた時には口の中に存在しない菌ですが、近年の遺伝子解析により親子間で同じ遺伝子を持つ菌を共有していることが判明しました。ただ、今までは同種の菌が親子間に存在することはわかっておりましたが、同じ遺伝子を共有していることが判明したため、明確に家族間感染であると言えるようになりました。子供の頃に同じ食べ物や食器を共有することにより、唾液を介して感染し合うのです。ただ、一般的に発症するのは成人になってからで、体の免疫力が下降し始める30代半ばから症状が現れます

a 健全な80代女性

[a] 健全な80代女性

b 中程度に進行した歯周病の50代女性

[b] 中程度に進行した歯周病の50代女性

痛みを伴うことがなく、歯肉からの出血口臭、そして歯肉が退縮して歯が長くなることにより自覚します。
歯周病が進行すると、歯肉が腫れ膿が出て痛みを伴うようになり、歯が動揺してしっかりと噛めなくなります。当然歯列は変化して下の前歯は重なり合い、上の前歯は歯列が広がりながら外側へ傾斜するようになります。そのまま放置すると歯は自然に脱落します。

歯が自然脱落した侵襲性歯周炎の40代女性
歯が自然脱落した侵襲性歯周炎の40代女性

歯が自然脱落した侵襲性歯周炎の40代女性

ただ稀に学童期に発症する侵襲性歯周炎という歯周病もあります。これは一般的に言われている成人型の歯周病菌とは異なる悪性度の高い種類の菌が関与しております。

歯石が沈着している中程度に進行している歯周病罹患者の口腔内
歯石が沈着している中程度に進行している歯周病罹患者の口腔内

歯石が沈着している中程度に進行している歯周病罹患者の口腔内

どちらの型の歯周病であれ、重要なことは感染症であることを忘れてはならないのです。一度感染した菌は歯周組織を破壊しながら歯の周囲に歯周ポケットを形成します。そして根面に沈着している歯石の中や直接根面にバイオフィルムという菌のコロニーを形成し、さらに歯周組織を破壊していきます。そしてその菌たちは、まだ歯周病が進行していない別の歯へと感染します。また、深い歯周ポケットほど、急速に骨を破壊する悪性度の高い菌が住み着くようになります。

歯周組織の解剖学的構造について

歯周組織の解剖学的構造について

伊藤輝夫 カラーアトラス歯周外科 医歯薬出版


“歯周組織”は4つの異なる軟、硬組織からなります。 すなわち歯肉、セメント質、歯槽骨、および セメント質を骨に付着させる歯根膜です。 歯は、歯根表面に薄く存在しているセメント質と歯根膜という強靭な繊維性組織を介して歯槽骨に強固に固定されています。そしてこれらの構造は歯肉により外界の細菌の侵入から守られております。
 

歯肉と歯槽粘膜について

我々の体は、眼球以外はすべて皮膚によって囲まれております。皮膚は体外の雑菌が体内への侵入を防ぐための重要な鎧(バリアー)なのです。もし、皮膚が欠落しているところがあれば、容易に細菌が体の中に入り込んでしまい、感染を受けることになります。歯は歯肉に取り囲まれており歯槽粘膜へと連続しています。歯槽粘膜は頬や口唇と連続しており可動性です。これらは、すべて上皮(皮膚)で覆われており、歯の上皮であるエナメル質という硬組織と連続しております。歯肉は粘膜と異なり非可動性で、強靭な角化組織という種類の上皮で覆われております。角化とは、例えば足のカカトや指先など皮膚が肥厚して硬く変化した状態のことです。上皮には、角化性上皮と非角化性上皮に大別されます。角化性上皮の方が、機械的刺激や化学的刺激に強いことは言うまでもありません。歯肉は角化性の上皮(角化組織)を有しております。
歯肉の幅と厚みはかなりの個人差があります。前述した様に、歯肉は歯とそれを支える歯槽骨を守るためのバリアーです。薄く幅の狭い歯肉より厚く幅のある十分角化した歯肉の方が、生体のバリアー能力は当然高くなります。
歯肉のタイプ(Bio type)は、薄く幅の狭い歯肉(Thin scallop type)と厚く幅の広い歯肉(Thick flat type)に大別されます。これは遺伝的なもので、後から自然に変化するものではありません。

歯周病を予防するために

歯周病を予防するために

歯周病の予防には、3つの大きな柱があります。

(1)プラークコントロール

歯周病原生菌は、歯の周りの掃除がしにくい「歯周ポケット」や、歯に付着する歯石にすみついて繁殖します。逆にいえば、口腔内が清潔に保たれていれば、歯周病原生菌は繁殖しにくくなります。
歯周病の予防には、何よりも正しいプラークコントロールで、口腔内を清潔に保つことです。また根本的には、歯列矯正で歯の位置を正しく整え、食べかすが残りにくい口腔内の状態にすることも必要でしょう。

(2)定期的な歯科検診

歯周病の進行は痛みを伴わないため、自己診断はほとんど不可能です。発症しても初期症状で食い止めるため、定期的な歯科検診(3ヶ月に1回が目安)を受診しましょう。
当院では、歯周病予防にはご家族の協力が不可欠だと考えています。
なぜなら、同じ環境で暮らしているご家族は、同じ歯周病菌に感染している可能性が非常に高いからです。特にお子様の場合、親御さんが歯周病にかかっていれば、将来的な発症のリスクは高いといえるでしょう。より注意を払って、歯科検診を受診されるべきです。
また当院では、むし歯治療など直接歯周病検査とは関係しない治療でも、その過程で歯周病が発見されたら、患者様にはお伝えしています。

(3)体が健康的であるべき

たとえ歯周病菌に感染していても発症しないのは、体の免疫力が大きく作用しているからです。歯周病の発症が一般的には30代以降というのも、体の免疫力が衰えてきたためです。
免疫力を高めるには、規則正しい生活習慣やストレスを溜めないようにすることが重要です。
健康的な生活を送るうえで、正しい歯の並びも大きな要素となります。そのために歯列矯正をお薦めします。